2009年09月13日

診断後、秋5(2007年11月)

診断後、秋4の続き)

双極2型障害と診断された私は、知りたかった。
双極2型とは何か?
双極1型と2型とは別物なのか?

そう、自分とは何者か!?


“双極2型障害”という未知なる生物に出会って
何がなんだかわからない、戸惑いと疑問が
頭の中をぐるぐるめぐっていた。


“双極性障害”とつく本を何冊か買ってみたが、どれも漠然とした内容であった。
きっと“双極性障害”とは、双極1型のことを指しているのだろう。

いや、私が知りたいのは2型だ。
しかし2型についてクリアーに解説した本はなかなか見つからない。

私は正しい知識を得たかった。
そのために、手当たりしだい本をあさった。





精神科クリニックに通院するようになってから、仕事面では
急性期入院患者を担当しない、日当直待機をしない、ということにしてもらった。
それが今の状態の自分にとって良いことであるのはわかるのだが、
そのために強く罪の意識を感じてしまうのも確かだった。
主治医には「そんなことは全然問題ない、罪の意識はいらない」
と言われたものの、そうすることはとても難しかった。


それだけでなく、外来のちょっとしたことで
とても落ち込む、抑うつ気分がひどくなる。

以前は余裕をもってやっていた外来も
いつ頃からか、予約患者を時間通り終わらそうと、
いやむしろ、まるでゲームをクリアする感じで
明らかに強迫的になっていたことに気付いていた。
あれもちょっと異常だった。

そして、調子が悪い今、以前のようには
強迫的に時間通り終わらせることができない。
そうして以前なら問題なかったようなことでも落ち込んでしまう。


実際に仕事ができているかどうかは、関係なかった。
「できていない」と思っている自分がいて、それが問題だった。

毎日何が何だかわからない。
今まで経験したことのない、グチャグチャの状態。



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2009年07月26日

診断後、秋4

初診から1週間後、2回目の診察に行った。
初診は1時間近くであったが、この日は20分程度だった。
予約は17時過ぎからで、私の後にも待っている患者はたくさんいた。

まず部屋に入ると一言
「ちょっと落ち着いたんじゃないですか?」と言われた。

「落ち着いたというより、納得した、スッキリした、という感じです」
と答えた。


双極性障害であるということを受け入れるのに2〜3日はかかったこと、
私は本物の(一般医では手に負えない)精神病なんだ、という驚き、
まるで受胎告知されたマリアが「え!?どうして私が?」という、
驚きと困惑を隠せないような、そんな感じだったことを話した。


そして心配していたことを質問した。


私はもともととても感受性が鋭かった。
芸術と詩を好み、観賞することで生きる糧を得ていた。

美術館で私は作品に対峙し、作品と私との間に
何か目に見えないもやもやしたものを感じ、
制作当時の作家の息づかいを感じたり、作家と会話をすることができる。
そして一人作品の前で泣いたりする。
私の思いこみかもしれないが、これは私にとっては真実であるのだ。

同じことは人に対してもいえ、誰かがとても辛いと
その人の辛さがとてもよくわかってしまう。
本当のところはどうかわからないが、
あたかも自分がその人になったかのような感覚に陥る。
これを先輩に「憑依されやすい」と名づけられたほどだ。


私の特徴ともいえるこの感受性。
治療にあたっての一番の懸念は、双極性障害の治療をすることで
私にとっての生きる糧である芸術や詩に対しての
感受性が失われてしまうのでないかということだった。

私はこのまま思った通りのことを主治医に話した。

主治医は答えた。
「きっと、相手と一体化しやすいのでしょうね。
 芸術に対してもきっとそうでしょう、この感受性も独特のものかもしれませんね」

こういった芸術や詩に対する心、感受性が
治療により失われてしまうことがもしあれば
それは残念でとても悲しいことだけど仕方がない、
そう話す私に主治医はこう言った。

「大丈夫、そんな治療はしませんよ」


私は本当に安心した。



そのほかにもいろいろ話をしたあと、最後に私はこう尋ねた。
「この病気ゆえの魅力といったらなんでしょう?」
主治医はこう答えた。
「やっぱり人の気持ちがわかるところでしょうね」



この答えは、今でも正しいと信じている。
この病気の“魅力”なのだ。



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posted by きらきらちょうちょ at 20:15| Comment(10) | TrackBack(0) | 診断後 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

診断後、秋3【健康まつり】

(大変久しぶりですが、こちらの続きです)


2007年11月精神科を受診し、双極2型障害と診断されたその4日後は
I病院の健康まつりだった。
地域住民を対象に毎年開催されているもので
無料健康相談ありバザーありゲームありと
楽しみにしている人が多かった。

私が以前I病院に勤務していた時には、実行委員長を務めたこともあった。
諸事情により開催が危ぶまれた年には週1度の非常勤だったにも関わらず
是非開催するようアドバイスし、当日の応援にも行った。
この年は委員長ではなかったが、毎月の企画会議に出席し計画、準備し、
調子を崩してからも熱心に関わっていた。
要は以前から思い入れの強い行事だった。
そして、上の医師がこういった仕事に関心がなく
こんな状況でも自分は頑張っているのに
そういったことを認めてもらっていないという不満もあった。


当日、私は講演をすることになっていた。
テーマは「うつ病」。

私には皮肉にしか思えなかった。

「キチガイがキチガイの話をするんですよ」
あえて自分を貶めるかのように、先輩にこう話したこともあった。
準備をしていても自分が惨めに思えた。
聴衆を騙すように思えて、とてもつらかった。

先輩は私のこういった発言をとても悲しく思った。
そんな言い方はしないでほしいと。

私には自分に対しての強い偏見・差別意識があった。
こんな自分が、大勢の前で偉そうに語る資格などないのだ、と
とても恥知らずなことをしようとしている気分だった。

このことについて、先輩とは何度もメールのやりとりをした。


> > 私は皆さんの前で偉そうに講演することが
> > 現在の一番の悩みです。
> > 喫煙者が「禁煙のススメ」を語ったり、
> > 肥満者が「ダイエットについて」を語ったりするような。
>
> じゃあ,癌患者が自ら癌であることを言わずに,
> 癌の早期発見を啓発する講演をするのは,どうなの?

つまり、
自分が精神疾患であることを恥と思っているのです。
自分自身の偏見が一番強いのです。

癌患者さんは癌を恥とは思わないし
聴衆もお気の毒に、とは思っても、
「弱い人間だからいけないんだ!」とか思いませんよね。



こんな心の弱い人間が、本当なら人様に顔を見せるのも
恥ずかしいようなレベルの低い人間が
こともあろうに偉そうに、人前で、それも
自分のできていないことを語るなんて
なんて恥知らずな行為なのでしょう。


だが準備をしていく中で、先輩とのやり取りを通じ
やれるだけのことをしようという気持ちにはなっていった。


準備が終わったのは当日の朝5時過ぎだった。
少しだけ眠り、起床は6時。

そこから1時間運転して病院まで行く。
今考えると恐ろしいことだ。

そうして迎えた講演。

結果は上々だった。
高齢者が多い聴衆の反応も良く、スタッフからも好意的な感想をもらった。
その後の健康相談やその他にもうまく対応でき、健康まつりは無事終了した。

この日以降、私はとりあえず、自分に対して
「キチガイ」という言葉を使うのをやめた。
先輩と約束したからだ。

だけど、自分に対する差別意識、偏見、恥と思う気持ちは
その後も長いこと消えなかった。



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posted by きらきらちょうちょ at 03:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 診断後 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月30日

診断後、秋2【処方】

精神科に受診する前は、自分で以下を処方して内服していた。

ルボックス(50mg)3錠分3毎食後
メイラックス(1mg)1錠分1夕食後
それに眠前にマイスリーも。


受診後、双極性障害にはSSRIは良くないので
徐々に減量し中止しましょう、と言われた。

そしてデパケンR(100mg)1錠分1夕食後を追加された。
メイラックス(1mg)も2錠分2朝夕食後になった。


翌日は何事もなかった。
しかし、その次の日異変が起きた。


朝からふらふらなのだ。
カンファレンス途中から、焦点が合わない。
椅子に座っていてもぐらぐら揺れている。
外来に降りようと歩き出したもののそこらにぶつかる。

なんとか外来はこなしたが、あとから見たカルテは
書いてあることが全く読めない、ぐちゃぐちゃな字であった。
他院への紹介状の返事については
「先生、悪いけど書き直して」と看護師に言われるありさま。
いったいどうしたというのだろう?


翌日も同様だった。
外来でS先輩と一緒に縫合をしたが、あとでS先輩に聞いたら
「まるで酔っ払っているみたいに、同じことを何度も繰り返し話していた」
とのことだった。
(それでも綺麗に縫えていた)
自分で運転して訪問診療にも行ったが、なんだかわけがわからなかった。
無事に帰ってこれて何よりだった。


まいったな。
明らかにおかしい。

再診日は来週になるし、その前の土曜日には
以前から苦労して準備を重ねてきた健康まつりがある。
そこで私は講演もしないといけない。
その準備だってまだできていない。
このままではまともにやれそうもない。

S先輩と相談して、朝のメイラックスをやめてみた。


そうして土曜日の健康まつりを迎えた。



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posted by きらきらちょうちょ at 18:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 診断後 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

診断後、秋1

2007年11月6日、精神科クリニックを受診した私は
双極2型障害との診断を受けた。

医局の上司にはすぐ報告した。
全員が驚いていた。
まさか私が双極性障害と診断されるとは、思いもしなかったからだ。
それまで彼らが想像していた“双極性障害”といえば
双極1型障害のことだった。
双極1型障害の躁状態はとても激しく、誰の目からもそうとわかる。

一方で、双極2型障害について、知識としては知っていただろうが
具体的なイメージはなかっただろう。
症状として定義されている“軽躁”が、実は
以前からの私の普段の状態であったとは、誰も考えもしなかった。


この経験により、私は、私を含む「うつ病も診ます」という医師の
こうした認識が、“うつ病”という診断のもと
実は双極2型障害の患者に誤った診断治療をし、悪化させ、
回復を妨げている可能性がある、という思いを強くした。
「普段元気な人がうつ状態になった」との認識で
普段の状態を軽躁と捉えられないからだ。
この結果、双極性障害の治療ではなく、うつの治療をすることになる。

これではまるで、北半球しか知らない人間が
北半球だけを旅して「世界一周をした」と言っているようなものだ、と
強い憤りを感じた。

製薬会社の売り込みもあって、“うつ病”の診断のもと
大変気軽に処方されている坑うつ薬であるSSRIは
単剤使用では双極2型障害を悪化させる原因となる。
双極性障害には気分安定薬の使用がまず何よりも必要だ。


“うつ病”を診療する医師は、“躁うつ病”も正しく知った上で
“うつ病”を診る必要がある。
それができない医師は“うつ病”を診てはいけない。
強くそう思ったのだった。



そうしないと不幸な患者が増える一方だ。



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posted by きらきらちょうちょ at 17:06| Comment(2) | TrackBack(0) | 診断後 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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