2009年05月05日

診断前、秋20【こころの健康】

2007年11月6日、精神科クリニックを受診する予定だった。

その4日後には、苦労して準備を重ねてきた病院をあげてのイベント、
健康まつりが控えていた。
しかもそこで私は講演もすることになっていた。

なんとテーマは、「こころの健康」。

受診する前より、講演の準備をしながら、私は悩んでいた。
こころの健康を害し、今まさに精神科受診をしようとしている
こんな私が、人様の前で「こころの健康」について語るのだ。
偉そうに。

喫煙者が「禁煙のススメ」を語ったり
肥満者が「ダイエットについて」を語ったりするような気分だった。

そう言うと、S先輩にこう言われた。
「じゃあ、癌患者が癌の早期発見を啓発する講演をするのは、どうなの?」

・・・。
それとは違うのだ。
癌患者は癌であることを恥とは思わないだろう。
聴衆も癌である医師の事を「お気の毒に」とは思っても
「弱い人間だからいけないんだ!」などとは思わないだろう。

結局のところ私は、自分が精神に問題を抱えていることを
恥と思っていたのだった。
自分自身の偏見が一番強かったのだ。

「ああ、○○先生もご苦労されて、なのに
 それを背負いながらこんな立派な話をして、なんて大変素晴らしい」
と思われるより
「心の弱い、情けない人間が、同様に弱虫のことを語ったって
 なんにもためにならないよ」
と思われるだろう、と。

S先輩はこう言った。

○○先生、あなたは
「ああ、○○先生もご苦労されて、なのに
 それを背負いながらこんな立派な話をしてなんて大変素晴らしい」
という人達、
または○○先生のご苦労を知らない人達を相手にするのであって
「心の弱い、情けない人間が、同様に弱虫のことを語ったって
 なんにもためにならないよ」
と受け取る人達は、一生変われないか、まだ未熟すぎて理解できないか
でしょうから、とりあえず蚊帳の外に置いておけばいいのです。



「蚊帳の外に置く」か。
いい表現だ。


私にその強さがあればいいのだが、と思った。
いや、もとはあったはずだった。
いつの間になくなってしまったのだろう。



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2009年04月22日

診断前、秋19【中庸であれ】

精神科受診を数日後に控えたある日の朝、私は助教授と言い争いになった。
今その当時を振り返ると、どっちもどっちだったと思う。
私もうつと軽躁の混合状態で収拾がつかない状態だっただろうが
助教授もそんな私に油を注ぐことを言い続け、しかも
もう外来も始まるというのに、中断することなく話し続けた。
私はあまりの言われように、途中から泣けてしょうがなかった。

30分以上患者を待たせたまま私と助教授が来ないので
外来では看護師がやきもきしていた。


この出来事を受けて、精神科受診の前日
私は教授と2時間ばかり話をした。

そこで言われたことは
「中庸であれ」
「泣かないように」
「最低限の通常業務はするように」
であった。


今考えると皮肉なことだ。
この翌日私は「双極性障害」と診断を受ける。
両極に大きく振れてしまう病だ。


「中庸であれ」とは、私にはとても難しいことだったのだ。



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診断前、秋18【受診までの2週間】

やっとの思いで決意して、精神科クリニックの予約をとった。
予約日は2007年11月6日。

予約してからの2週間も、大変な毎日だった。

11月10日にはI病院で年に1度のイベント、健康まつりが控えていた。
細かな実務的なこと、講演の準備、ケーブルテレビのCM撮り。
医師は実質私ひとりで奔走していたのにもかかわらず
上司や院長からそれを認めてもらっていないことのつらさ。


帰り道の眠気は相変わらずだった。
早い時刻に帰っても同じだった。
運転中ぐらんぐらんと崩れるように揺れる。
あまりに危ないので車を止めて1時間くらい眠ることが頻繁にあった。
ある日など、用事で真昼に移動する際にも同じように眠くなり
やはりコンビニの駐車場で眠っていた。
それまで運転中のみならず、どんな会議でも決して眠くなることなく
居眠りなどしたことのない私には、尋常ではない事態だった。


臨床の面では、「仕事を減らします」と言われながら
実質はほとんど減らない。
しょうがない、零細企業のようなものだからだ。
そして外来担当や学生教育担当を決め直す際などは
以前となんら変わらない、全く考慮がされていなかった。
忘れられてしまうことが多かったのだ。
こちらとしては仕事軽減の申し出をすること自体
大変罪悪感を感じ、またエネルギーも必要であったので
その分裏切られたような、がっかりする気持ちはとても大きくなった。


自分のやっていることが認められていない、忘れられている、
考慮すると言いながら実際は考慮されていない、しかし
そうはいっても自分は他の医師より働くことができない。
(今思えば実際はできていた部分も大きかったと思うが)
怒りと苛立ち、自責の念と絶望感が渦巻き、
私のセルフ・エスティーム(自尊感情)はとても低くなっていた。
誰も認めてくれない、こんな役に立たない人間は死ねばいい。
忘れられるような人間はいても邪魔なだけだ。

希死念慮はどんどん強くなっていった。



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posted by きらきらちょうちょ at 12:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 診断前 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月21日

診断前、秋17【パンフレット】

大学時代にたった1度受けた精神科開業医師の授業。
精神科に受診するのなら、絶対あの医師がいい。

私は当時のノートを探し出し、
そこに書かれた名字のついた精神科クリニックに電話をかけた。

数日後、クリニックからパンフレットが送られてきた。


そこには医師の顔写真も載っていたが、全く覚えはなかった。


医師からの長いメッセージには大変胸を打たれるものがあった。
そしてその最後は、このような言葉で締めくくられていた。


苦訴を持つあなたと、あなたを助けようとする私とが初めて出会います。
人と人との対等の出会いです。
袖振りあうも他生の縁と申します。
縁に導かれて出会った二人がよりよい未来を目指して
「同行二人」を続けます。
そして、治療が終結する時がやがてきますが、
出会った関係に別れはありません。
あなたの心の中で、私はいつも同行していきたいと思います。




あの医師かもしれない。

そう思った私は、予約をするために電話をかけた。
2007年10月24日のことであった。



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posted by きらきらちょうちょ at 18:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 診断前 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

診断前、秋16

精神科を受診する話が出てからもしばらくの間、
実際に精神科を受診することにはためらいがあった。

そんな中で見つけたノート。
そこにあった名字「○○」だけが手掛かりだった。

ネットで検索したところ、「○○」という名のつく精神科は
県内に一軒しか見つからなかった。
しかもクリニックのホームページはない。

他に当てもないので、電話してみた。
その電話をするまでも時間がかかった。

電話には受付の女性が出た。

一生懸命授業の内容を説明し、
その頃そのような授業を大学でするような先生だったか尋ねた。

よく考えたら無茶苦茶な話だ。
受付の女性もさぞ困っただろう。

私が一通り話終わったら、女性は
「当クリニックのパンフレットを送りますので」
との返事だった。

こうして、パンフレット到着を待つこととなった。


この日、電話をしたこの日のことは
ちゃんと手帳に書いてある。

2007年10月17日のことであった。



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posted by きらきらちょうちょ at 01:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 診断前 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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